†D.Gray-man【短編】

□キスはストロベリー風味
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―ハロウィン―

それは神聖なる万聖節の前夜祭。




【キスはストロベリー風味】



食堂近くの物置を改装した一室。

軽く握った拳でノックをすると、その部屋の扉が少しだけ開いた。



「はい。

あ、ミリア・・・って、何ですか?その格好」



顔をのぞかせた人物は私の姿を見るなり目を瞬いた。


こちら、ミリア・エヴァンス。


ターゲット、アレン・ウォーカーを確認しました。

アレンが驚くのも無理はない。

私は今、ちょっと変わった格好をしているのだから。

先のとんがった大きな黒の帽子に、黒いワンピース。

フリルのついた裾は丈が短く、フワフワとしていてボリュームがある。

胸元が開いているのはラビの趣味だから仕方ない。

手には先っぽにカボチャの付いた杖を持っている。

我ながら、普段着とは言えない風貌だ。



「魔女だよ、魔女!今日はハロウィンでしょ?」



杖の先をアレンに向けながら少し語調を強めて言う。

その言葉を聞いたアレンは、私の姿を上から下へと眺めた後、納得したように口を開いた。



「・・・ぁあ!なるほど。

だから仮装してるんですね。・・・にしても、何だか寒そう」



アレンの声には少し同情の色が含まれているような気がする。

確かに、今の季節にしては私の衣装は薄着だ。

実際は生地が温かいので見た目ほど寒くはないのだけれど。



「露出が激しいのはラビの趣味・・・。

で、本題なんだけど」


「・・・なんですか?」



私の言葉を聞き、アレンが一歩下がった。

明らかに警戒心を漂わせている。

何か失礼な反応なんですけど・・・



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