DRRR! !【外伝】

□合宿編×壱
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来神高校 放課後




参加or欠席?

いやいや、ここは間違いなく欠席でしょう。
何日か前に配られた紙きれを眺めながら、ペンを片手に考える。

何の紙かと言うと、夏休み中に行われる夏季合宿の出欠確認のプリントだ。
今日中に提出して帰らなければならないので、周りではプリントを提出し終わった生徒たちから順々に下校を始めていた。

来神は特に進学校と言う訳でもないし、例年この合宿に参加する生徒は少ない。
内容はお勉強会みたいなものらしいし…。

2泊3日の山ごもりみたいな合宿で、他人と共同生活を送るなんて、そんなの苦行以外の何物でもない。
欠席に丸を付けようとしていると、斜め前の席では、新羅が盛大な溜息を吐きながら机に突っ伏した。



「はぁ…まいったなぁ」



独り言にしては大きなソレに、何となく声を掛けなきゃいけないような気になってしまった。



「…そんなに大きな溜息吐いてどうしたの?」


「ああ、姫乃!良く聞いてくれたね。
それがさ、この合宿…セルティが参加して来いって言うんだよ。
僕としては、せっかくの夏休みなんだから毎日セルティと過ごそうと思ってたのに。彼女に言われちゃ仕方ないけど…
でも、夏休み中、3日間も家を空けるなんて!
今、このプリントの参加か欠席、どちらにマルを付けようかで懊悩呻吟している所だよ」



言い終わってから、彼は再び深々と息を吐き出した。



「ほら、お前ら、とっとと提出しろよ」



急かすように言う声の方を見ると、近くにやって来ていた門田くんが私たちの方を見下ろしていた。
彼は先生にクラス分のプリントを集めて持ってくるように言われているので、まだ未提出の生徒の所を回っているんだろう。



「仕方ない。…じゃ、僕は出席で」



新羅は出席にマルを付けたプリントを門田くんに力無く差し出した。

…あ、新羅は行くんだ。

視線を私の方に向けながら門田くんが口を開く。



「倉伎、お前はどうするんだ?」

「えっと、私は…」



新羅が出席という事で、今もの凄く心が揺らいでいる。

夏休み中は新羅とはなかなか会えないしなぁ…

そんな事を考えていると、門田くんが教室の後ろの扉の方へ目を向けながら少し慌てた様子で声を掛けた。



「おい、臨也!お前まだ提出してないだろうが」

「え、何ー?ドタチン」



教室から出かけていた身体を半分だけ戻しながら問い返す臨也に、門田くんが近付いて行く。
そんな彼の後ろ姿を見送っていると、一番後ろの席に座っているシズちゃんと目が合った。



「あ、シズちゃんは合宿行くの?」

「俺か?行かねえよ、面倒くせぇ。…お前は?」

「うーん、今考え中なんだけど」



いまだ私が答えを出せずに居ると、立ち上がった新羅がシズちゃんの席へと近付いて行った。



「静雄も行こうよ。旅は道連れ、世は情けって言うしさ」

「なんでお前に付き合わなきゃなんねぇんだよ」

「だって、ほら。友達だろ」

「……」



にっこりと笑う新羅に、シズちゃんは顔をしかめた。
そんなシズちゃんには構わず、新羅がこちらを振り返る。



「もちろん、姫乃も行くよね?」

「私?あ…うん。新羅が行くなら…じゃあ行こうかな」



新羅にこう聞かれては、頷かざるを得なかった。
こうなれば、知り合いは多い方が良い。



「ね、シズちゃんも行こうよ」

「…たくっ、面倒くせぇ」



そう言いながらも、彼はプリントの参加の方にマルを付けてくれた。

そして、その紙を新羅に押し付けるように手渡した。


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