DRRR! !【外伝】
□パーソナル・スペース
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すっかり辺りが暗くなった19時過ぎ。
電車に乗り込んだ私は、新宿駅へと向かっている。
何故こんな時間から、わざわざ外出しているのかと言うと…
事の始まりは数時間前に掛かってきた一本の電話までさかのぼる。
***
『今日なんだけどさぁ、何してるの?』
「…なんで?」
『いやだなあ、何を警戒してるんだい?
俺は空いてるか空いてないかって聞いてるだけだよ。で、どうなの?』
「別に、特には用事ないけど」
『ああ、だと思ったよ。今日は土曜で天気もせっかくの快晴なのに。どうせ家に居るんだろ?君が不憫だよ。
年頃の女の子が週末誰とも予定が無くて一人寂しく過ごすなんてさ。やる事が無いって言うのは実に退屈だよねえ』
「ねぇ…私をイライラさせるために電話してきたの?」
『はははっ、まさかぁ。俺だって、そんなに暇じゃないよ』
「……切って良い?」
『まぁ待ちなよ。だからさ、誘ってあげてるんじゃない。
今から、デートしない?俺とさ』
「誰が?」
『話聞いてた?君が、だよ。じゃあ、19時半に、とりあえず新宿駅の…そうだな、りんかい線乗り場辺りで。
俺は君が来ると思ってるけど、もし来なかったら…まあ後で後悔しないように、良く考えて行動するんだね。
あ、寒いかもしれないから、ちゃんと上着きて来るんだよ?それじゃ』
そのまま切られる電話。
何時にも増して一方的すぎる会話に、イラ立ちを通り越して、もはや呆れてものが言えなかった。
しかも集合時間が19時半て。
一体何をするつもり…?
それでも奴には色々と弱みを握られているので、もし呼び出しを無視したら、後で何をされるかわからない。
ほんと、今度あいつのパソコンにクラッキングしてやろうか…。
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