DRRR! !【外伝】

□情報屋さんとXmas
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川越街道沿い 某所マンション



もう23時も回ったというのに鳴らされた玄関のベルの音に、新羅は僅かに眉をひそめる。



『誰だ?…こんな時間に』



ゲーム機のコントローラーを脇に抱え、セルティはPDAに打ち込んだ文字を新羅へと向けた。



「急患…?にしても自宅に直接来るはずないしなぁ。とりあえず、出てみるよ」

『あぁ、分かった。新羅、一応用心するんだぞ。時間も時間だし。あっ!
ちょっと、ごめん。ゲーム始まったから、後は頼んだ!』



慌ててテレビの方へ体の向きを変えたセルティに苦笑しながらも新羅が呟いた。



「はいはい。まあ、セルティが僕からのクリスマスプレゼントをそんなに気に入ってくれて嬉しいよ」



リビングを出て、玄関へと向かいながら、新羅は「それにしても」と不満そうに溜息を吐いた。



「このクリスマスの夜に恋人たちの愛の巣を訪ねてくるなんて…まさに月にむら雲花に風とはこの事だよ。
一体どこの誰だい?僕とセルティの聖なる夜を邪魔する奴はさ」



新羅はそう言いながら玄関の鍵を開け、セルティに言われた『用心しろ』という言葉も忘れて、そのまま扉を開いた。
そして、廊下に立っていた少し疲れた様子の“友人”に一瞬目を見開いた。



「あれ、臨也じゃないか」

「…やぁ、新羅。あからさまに嫌そうな顔するね。いくら俺でも傷付くよ」

「あぁ、悪いね!わざとだよ。それにしてもクリスマスの夜に何の用?見た所、命に別状は無さそうだけど」

「別に治療を頼みに来たわけじゃないさ。今日は…」



臨也が言いかけた時、彼の背後から新羅も良く知る人物が元気良く声を発した。



「メリークリスマス!新羅ぁ、会いたかったー」



そのままフラフラと危なっかしく自分の方に歩き出した彼女に、新羅は無意識に手を差し出していた。



「姫乃も一緒だったんだね。あーあぁ、こんなに飲ませちゃって。酔わせてどうするつもりだったのさ。
ついにクリスマスを一人で過ごす寂しさに気がついた?」

「おいおい、やめてくれよ、新羅。俺は姫乃に忠告したよ。飲みすぎないでよってさ」



倒れ掛かって来た体を支えるようにしながら言う新羅に、姫乃が四角い箱を差し出す。
そのまま新羅が受け取ると、ちょうど声を聞き付けたセルティも部屋の奥から玄関へとやって来た。



『新羅、一体誰が…って、なんだ臨也か。あれ…姫乃ちゃん!?どうしたの?具合悪い!?』

「安心しなよ、運び屋。ただ酔ってるだけだからさ」



臨也の答えに、セルティはPDAに打ち込んだ画面の文字を向けながら玄関口へと詰め寄った。



『臨也、お前って奴は!姫乃ちゃんに何する気dったんだ!?』

「…落ち着けって。文字ちゃんと打ててないよ?それに、新羅と同じ事を言わないでくれよ」



溜息を吐きだしてから、臨也は先ほど姫乃が新羅に手渡した四角い箱を指で示した。



「メリークリスマス。それ、俺からのクリスマスプレゼントだよ。まあ、強引に届けたがったのは、そこで泥酔してる子だけどね?」




――事の始まりは、約3時間前にさかのぼる。



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