DRRR! !【連載】

□22×オリハライザヤ
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22×オリハライザヤ 



校内にチャイムの音が鳴り響く。
良かった。
やっと一日が終わった。


「ふあ〜…ねむっ」


昨日の夜、チャットに参加していたので寝るのが何時もより遅くなってしまった。
今日は放課後に訪ねてくる相談者も居ないみたいだし、早々に帰宅しよう。
それにしても…何だか静か。



「あ、今日、紀田くんが来てないからだ」



その静けさの正体に気付いた。
ちょっとしつこい位に毎日毎日ココへ遊びに来る彼が、今日は一度も顔を見せなかった。
ま、良いけど。
毎日の習慣になっていたので少し物足りない感じだ。

帰宅する生徒の群れに紛れて校庭に出ると、ちょうど紀田くんと帝人くんが下校する姿があった。
どこか遊びに行くのだろう。
楽しそうに会話しているのが遠目にも分かった。



「あ、姫乃ちゃーん」



二人から視線を外して歩き出そうとした所で、紀田くんの声が響く。
顔を向けると、紀田くんと帝人くんがこちらへ走って来る所だった。



「姫乃ちゃん、もう体調平気?」



着いて早々に紀田くんが口を開いた。



「ありがとう、紀田くん。もうだいぶ良くなったよ」

「そっか、良かったー。今日も本当は会いに行こうと思ったんだけどさ、今から帝人に池袋を案内してやる事になってて」



紀田くんが言うと、帝人くんが少し照れたように苦笑した。



「まだ全然、この辺の土地勘がなくて…」

「俺に任せとけって!この俺がお前を立派な池袋人にしてやっからさ。まずは、女子にモテる為に押さえておいた方が良いスポットとか」

「紀田君、そういうのは良いから普通のトコ案内してよ…」



意気揚々と言う紀田くんに対して、帝人くんは冷静に突っ込みを入れる。
この二人、最初はタイプも全然違うから、合うのかなぁと思っていたけれど、なかなか良いコンビの様だ。



「あ、それに紀田君言ってたよね?池袋には危ない人たちも一杯いるって。
この前見た、平和島静雄って人とかカラーギャングの他にも、近付いちゃいけない人って居るの?」



校門へと歩みを進めながら、帝人くんが口を開いた。
何となく彼らと一緒に帰る空気になり、私も並んで歩いている。

さすがにシズちゃんは有名人らしく、まだ池袋に越してきて間もない帝人くんにも名前を覚えられている。
帝人くんと共に紀田君の回答を待っていると、彼が「うーん」と小さく唸ってから答えを口にした。



「ヤーさんやギャングは言うまでもないとして…。折原臨也って人が居るんだけどよー」

「オリハライザヤ?変わった名前だね」



紀田君の口から飛び出た知人の名前に一瞬、息を呑んだ。
まあ、確かに近付かないに越したことが無い人物であるのは確かだ。
自分の名前を棚にあげて言う帝人くんに、紀田君が「お前が言うな」と突っ込んだ。



「コイツはヤバいから絶対に関わるなよ。ま、新宿主体の人だから、まず会わないだろうけど」



紀田君は、臨也の話をした後、ダラーズについても語り出す。
その話を聞きながらも、私は帝人くんへ接触を試みている、臨也のことを思い出していた。

まだ、会ってはいないようだけど…。
臨也は一体、帝人くんに会ってどうするつもりなんだろう…。



「倉伎先生…?あの、大丈夫ですか?」



気付くと、隣を歩いていた帝人くんが、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
無意識に深刻な顔でもしていたのだろうか。


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