DRRR! !【連載】

□08×ナイフ
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「それじゃあ、ここで問題でーす。俺は今から君に一体何をしようとしているでしょうか?」


私の頬から離した左手の人差指を立て、彼が問う。
右手に握られたナイフがさっきからフラフラと動くので、つい目で追ってしまう。
頭の中には最悪な答えたちしか浮かんでこない。


「ブブ―、時間切れでーす。これから起こる事を想像して絶句しちゃってるって感じかな?面白そうだから、何を想像したのか聞いてみたい気もするけど止めておくよ。
それに残念ながら、俺に女の子を痛めつける趣味はないんだ。君の顔が驚きや恐怖でコロコロ変わる様を観察できただけでも楽しかったしね?
今日は、『今後、少し危ない仕事も手伝ってもらう予定だから、せいぜい自分の身を大切にね』って忠告してあげただけだから、安心しなよ」


そう言い終わると同時に、彼はソファの上から立ち上がる。
臨也が上から退いて、やっと自由になった体を私はゆっくりと起き上がらせた。
彼は先ほど投げ捨てた携帯を拾い上げている。
様子をうかがう私の視線に気付いた臨也がこちらを振り返りながら口を開いた。


「そうそう、わざわざ連れ込んだのは別に君と寝たかったからじゃないから、ここ重要だよ。もっとも、君が望むなら相手をしてあげない訳でもないけど」


彼はソファに座る私の視線に合わせるように屈んで、意地の悪そうな笑顔を向けた。


「…最っ低」


視線を合わせずに私が答えると、臨也がクスクスと嗤う声がした。
今まで人にさんざん好き勝手な事をしておいて、どの口がそんな台詞を吐いているのか。

ちょっとでも恐怖感を抱いた自分を激しく後悔した。

…悔しい。

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