DRRR! !【外伝】

□肆
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「あの、ごめん。ちょっと電話みたいだから」


「あ、良いよ〜。じゃあ、続きは電話の後でっ」



助かった!と思いきや、電話の後も続くのか…。
一体どう言い逃れようかと考えながら、着信相手の名前を確認すると、まさに今話題に上っている奴の名前が表示されていた。
これまでで臨也からの着信を嬉しいと思ったのはコレが初めてかもしれない。
用件は何にせよ、少しは時間を稼げるだろう。通
話ボタンを押したとたん、すぐに相手が話し始めた。



『やあ、お楽しみ中かな?なかなか出なかったのは着信相手が俺だったからか。それとも、君にしては珍しく、同じ部屋の子達と合宿にありがちな夜の恋愛談議に強制参加でもさせられてたか…』



まさに状況を言い当てられて、何も言い返せなかった。
黙ったままの私には構わず、彼は更に続けた。



『まあ、どっちでも良いんだけどさ。ちょっと出ておいでよ。今、廊下に居るからさ』


「え、廊下って…?」


『君が泊まってる部屋、ここじゃないの?…ったく、新羅の奴、適当なコト言ったんじゃないだろうな』



電話の向こうでブツブツと臨也が呟いたと思った途端、部屋のドアがノックされた。
その音を聞いて、同室の女の子が扉を開けに行くため立ち上がる。…まさか。



「はい、今開けまーす」



嫌な予感は当たったようだ。
扉を開けに行った子が廊下に向けて放った言葉が、電話の向こうからも、かすかに聞こえてきた。



『あ、悪いんだけど、倉伎さん呼んでもらえるかな?この部屋だと思うんだけど』



電話からその声が流れ終わった所で、通話が切られた。

そのすぐ後、楽しそうな様子で戻って来た女の子が、はにかむ様な笑顔で口を開いた。



「噂をすれば…折原くんが倉伎さんのこと呼んでるよ。私、初めて喋ったんだけど、思ったより優しそうだね。カッコ良かったし、ちょっとドキドキしちゃった」



少し頬を染めながら言う姿は可愛らしかったけれど、私は引きつりそうな顔を何とか堪えるので精一杯だった。



「あ、あの…じゃあ、私ちょっと行って来る。ごめんね、いろいろ途中だったのに」


「良いよ良いよ。気にしないで。それより、楽しんできてね〜」



茶化すように言われ、思わず苦笑する。
これ、今日は上手く逃げられたけど、明日の夜とかに質問攻めにされるんじゃなかろうか…

良いんだか悪いんだか解らないタイミングでやって来た臨也に対し、溜息を一つ零しつつ、仕方が無いので部屋の出口へと歩みを進めた。




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