黒蝶奇譚
□黒蝶奇譚〜夢見月に見る夢は……〜(完結)
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『黒蝶奇譚〜夢見月に見る夢は〜』
三枝生 七偲 著
第一章 秋に春の夢見る物思い
春、木蓮の花の咲くころになると、幼いころから繰り返し見ている夢を決まって見る。それは、ぼくの前世に関係する夢だ。
前世のぼくは、三枝生 未生(さえき みしょう)さんの名前を持っていて、今のぼくの養父・銀之助(ぎんのすけ)の義理の弟ということになっている。つまり、今のぼくにとっての義理の叔父に当たる人でもあった。
そしてその人は、ぼくが生まれる前には姿を消しているのだけれど、後にぼくの義理の姉にして、幼いころの初恋の相手となる少女と出会っていた……。
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