仮面ライダークモハ


□世界
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虎時狼
「これは……!?」



時間の中で3時間、なんておかしな表現だが確かにクモハライナーを北へ3時間きっかり走らせると



想像を絶する光景が眼前に現れた


ただでさえ狭いクモハライナーの運転室に4人全員が入り込んでその光景を眺める


ユキ
「スゴい綺麗―!!」

タイガ
「コレが世界……!」

ウォルフ
「……凄まじい威圧感だ」


三者三様にテンションが上がっている

目の見えないウォルフでさえ何か並々ならぬ存在感を感じているようだ





俺達の行く手に広がるのは、とても大きな、いや、壮大な…


氷の城、

空に逆さまに浮かぶ。



全体的に青白く、その色は遠く離れたクモハライナーから見てもその外観が氷で出来ていると知らしめた


巨大な氷の城壁がそびえ立ち、ヨーロッパの王侯貴族が、自己顕示の為だけに作り上げたかのような豪奢な外観


城壁を支える黒々とした岩石
真夜中の月光の中でそれを見たならば虜になって見惚れてしまいそうな

そのような魔力を秘めた妖しさ




ありえない程のメルヘンが


空に逆さまに浮いている



何か、魅了の魔法が実際に掛けられているのか

ユキやタイガやウォルフまでもが興奮している中で


俺が。

仮に他にコレに対峙した人がいるとしても

恐らく俺だけが、とてつもない不安を感じるだろう。


俺は恐れていた。


単純な恐怖感とは違った恐ろしさ


汚いものに蓋をする、
或いは、開けてはいけない箱の蓋を実際に開けてしまったかのような



もっと正確に言い換えれば、


自分が避けて直視して来なかった過去の具象化のような、


実体の判らない不安が俺の脳裏に暗雲のように立ち込めていた………
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