過去小説1

□王子と商人U
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そして翌日、恭弥は自ら城門まで綱吉を迎えに出た。綱吉は恭也が出迎えることを予想していなかったようで、驚いたけれど嬉しいといったような微笑みを見せた。
その笑顔が眩しくて、恭弥の表情も自然と綻んだ。
「待ってたよ綱吉。今日は僕の部屋においで」
「あ…でも王様には…」
「大丈夫だよ。僕から言っておいたから」
何を言っておいたのかは分からないが、綱吉は恭弥に苦手意識を抱いているためなかなか話し掛ける事が出来なかった。
嫌いと言うわけではなくたんに怖いのだが。本心では恭弥に憧れや興味を抱いてはいるがそれを綱吉自身は気付いていない。
「狭いけど許してね。それで、今日は何を持ってきてくれたの」
王子は部屋に着くなり綱吉の持つ籠を珍しそうに眺めた。
部屋と言っても一般の一軒家は収まる程の広さがある。
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