過去小説1

□王子と商人U
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綱吉はその広さに天を仰いだ。
これで一人部屋なんて、しかもそれを狭いと言うのか。
王族と庶民はここまで違うのかと綱吉は眩暈にも似た感覚に陥った。
だが恭弥がじっと綱吉の瞳を見つめているため我に返って訪ねられた事に答えた。
「あ、ナツメヤシとスイカを一つ。ほどよい甘さで食べやすいですよ」
「ワオ。スイカは重かったんじゃない?ほら、そこに掛けてゆっくりしなよ」
そう行った先には黒く肌触りの良さそうなソファとそれに見合う立派なガラステーブル。言われた通りにするが緊張のあまりゆっくりすることなんてとてもじゃないが出来そうにない。
「スイカは…改良されて種が無いものですけど、とてもさっぱりしていて美味しいですよ」
「ふーん…じゃあナツメヤシもスイカも全部買うから。それより別の話をしようよ」
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